女性が男性の体臭を「あの人の体臭は生理的にムリ」「この人の体臭は好き」と感じるのはなぜなのか、考えたことはありますか? 実は、これは遺伝子の戦略によるものなのだそうです。今回は、体臭と恋愛の密接な関係についてお伝えします。

「Tシャツテスト」
1995年、スイスの動物学者クラウス・ヴェーデキント博士の行った実験「Tシャツテスト」からこの話は始まります。そのテストは、男性44人が2日間連続で着用したTシャツをそれぞれ箱に入れ、49人の女性に嗅いでもらい、においの好き嫌いを判断してもらう、というものでした。結果は、ほとんどの女性が「自分とはかけ離れた遺伝子情報を持つ男性」のにおいを「好き」「いいにおい」だと答え、「自分と近い遺伝子情報を持つ男性」のにおいを「嫌いだ」「くさい」と答えたそうです。

好みの体臭は人により異なる
簡単に言うと、ある女性は男性Aを「くさい」、男性Bを「いいにおい」と感じ、また別の女性は男性Aを「いいにおい」、男性Bを「くさい」と感じたということになります。普段の生活の中では、女性同士で男性の体臭について感想を述べあうことはあまりないので私達は気づきませんが、「絶対くさい人」「絶対いいにおいの人」というものはなく、それは人により感じ方が異なるということになります。

いいにおいの人を選ぶべき理由
先ほどの「Tシャツテスト」では、女性はにおいで遺伝的に自分に近い個体を避け、遠い個体を求める傾向にある、ということが分かりました。これは遺伝子学の観点からは、ヒトという生物として非常に合理的な選択をしていると言えます。
ヒトを含め有性生殖をおこなう生き物は、近親間の交配を繰り返すと、本来は顕在化する確率が低いはずの劣性遺伝が起こる確率が高まります。すると、優性遺伝では潜伏してきた劣性遺伝による障害をもつ個体が増えてゆきます。反対に、遺伝的に遠い個体を選択することは、自分の遺伝子がまだ持っていない性質を獲得できるチャンスがうまれるわけです。遺伝的な多様性は、環境の変化への適応力や病気への耐性といった種の存続にかかわる重要なファクターなのです。

恋愛は遺伝子に支配されている
現代の人間は高度で複雑な社会を営んでおり、配偶者を選ぶときに異性に求めるものは収入、身長、頭の良さ、性格の相性など多岐にわたり、体臭は最優先事項ではなくなりました。しかし「Tシャツテスト」は、むかし人間がまだ猿やもっと原始的な哺乳類だったころ、近親者をにおいで判別し近親交配を避けてきた名残りがまだ私たちの嗅覚に残っていることを示しています。婚活などで条件はピッタリだけどその人をなんだか好きになれなかった、という経験のある人は無意識ににおいでその異性を避けてしまったのかもしれません。

お父さんクサイ!は当然のことだった
思春期の女の子が父親のにおいを嫌がり、洗濯物まで分けたがるのは、仕方がないことなのかもしれませんね。においで異性を選ぶなんて動物みたい、と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、人間だって動物です。顔は好みじゃないけれどいいにおいのするあの人は、実はあなたの運命の相手かもしれませんよ!