認知症の患者さんは近年増加傾向にあり、その予防は健康的なライフスタイルの継続と五感を上手に刺激していくことが大切なポイントと言われています。今回は、五感の中の「嗅覚」へ働きかける刺激として「香り」のもつ認知症予防についてご紹介します。

認知症と香りの関係

認知症は人間の記憶をつかさどる海馬がダメージを受けることにより起こります。この海馬と、匂いを感じ取る神経が近くに存在することが関係してくるのです。アルツハイマー型の認知症の場合では、物忘れの症状が現れる前に匂いを感じ取りにくくなってくるということが知られています。匂いを感じ取る神経がダメージを受けると、その影響が記憶をつかさどる海馬にも伝わってしまうことが認知症を悪化させる原因と言われています。
そのため、香りの力を上手に利用して匂いを感じ取る神経を刺激することは、記憶をつかさどる神経にも刺激を与え、活性化することにもつながるそうです。アルツハイマー型の認知症において、ある方法でアロマテラピーを行った場合に症状の改善や予防効果がみられた、という研究結果も報告されています。

認知症予防につながる香りを紹介

アロマテラピーに用いられる精油は数多くあり、その組み合わせや方法もさまざまです。その中にアルツハイマー型認知症の改善や予防につながる香りがあります。それは、集中力を高める「ローズマリー・カンファー」(※ローズマリーとは異なります)、気持ちを高揚させる「レモン」、安眠を助ける「真正ラベンダー」、リラックスをもたらす「オレンジ・スウィート」です。

効果的な香りの活用方法とポイント

香りのパワーを活用するためには、効果が認められている精油を適切な方法で用いる必要があります。まずは、精油(ローズマリー・カンファー、レモン、真正ラベンダー、オレンジ・スウィート)、アロマ用ペンダント、アロマディフューザー(芳香拡散器)などのアロマグッズを用意しましょう。
 昼間(日中)の活用方法
ローズマリー2滴、レモン1滴を混ぜ合わせ、アロマ用ペンダントなどに染み込ませておきます。部屋を移動しても香りを続けてかぐことができるので便利。午前中に2時間以上香りをかぎましょう。
 夜間の活用方法
ラベンダー2滴、オレンジ1滴の精油を混ぜ合わせ、枕元に匂いを染み込ませたものを置く。または、アロマディフューザー(タイマー機能付きのものが便利)などを活用し、就寝の1時間前から2時間以上香りをかぎましょう。

天然由来の精油を使用することが大切!

アロマテラピーに用いる精油は人工的につくられたものは避けましょう。なぜなら、人工の精油には、目的とする神経を効果的に刺激する成分が含まれていないからです。
天然成分を含む精油の見分け方
精油の瓶にあるラベルに、精油の学名(ラテン語)とロット番号(産地、製造年、管理番号)の記載があるかどうかを確認してください。天然成分の精油を使用する際の注意点としては、頭痛や不快感を防ぐために鼻に近づけ過ぎないようにすることです。誤って皮膚や衣類に精油が付着してしまった場合には、できるだけ早く付着した部位を洗浄して香りを和らげてください。
また、ラベンダーには血圧降下作用、ローズマリーには血圧上昇作用がありますので、持病がある人の場合、アロマテラピーに取り組む際には主治医に確認してからはじめるようにしましょう。

香りと使うタイミングに気を付けて、効果的な認知症予防を

心地よい香りでリラックスしながらできる認知症予防。要点を押さえれば手軽にできるので、生活のアクセントとして取り入れるのはいかがでしょうか。